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掲載日:2017年3月9日
緩和ケアという言葉を聞くと、治癒不能の状態で行う医療というイメージはありませんか?約10年前までは、緩和ケアはそのイメージ通りの位置づけにありました。しかし、2007年にがん対策基本法が施行され、そこからは緩和ケアは治療後に行うものではなく治療開始と同時に行うという医療として確立しつつあります。
病気によって伴う痛みなどを抑えてQOLを改善・保つ治療こそが緩和ケア(緩和医療)なのです。
例えば「がん治療」の場合、70%の患者さんが痛みを経験すると言われています。その中でも50%の方が強い痛みを感じ、30%の方が耐えがたい痛みを感じているそうです。
我慢強いという日本の国民性から、痛みを取るための緩和治療を行う事によって、「治療効果が減る」、「治療が終わってしまう」、「依存して止められなくなる」と思い、痛みを我慢してしまう人が多くいらっしゃいます。
しかし、決してそうではありません。緩和ケアを行う事でストレスが軽減され、寿命が伸びることが分かっています。また、治療と併用で緩和ケアを行った場合、一部のがんで転移を抑制するというデータも出ているそうです。
痛みと免疫は紙一重で繋がっています。強い痛みを感じると、免疫力が下がります。免疫力が下がることにより、QOLが低下してしまい、治療の中断を余儀なくされる場合もあります。
効果の高いがん治療を行うためには、我慢するのではなく、がん治療と併用での緩和ケアを積極的に取り入れる事が大切です。
治療中の痛みは、体の痛みといった身体的苦痛だけではありません。不安や苛立ちなどの「精神的苦痛」、経済的な「社会的苦痛」、死への恐怖や自責の念などの「スピリチュアルな苦痛」と、痛みには様々な種類があります。
身体的・精神的・社会的・スピリチュアル的な苦痛を合わせてトータルペイン(全人的苦痛)と言い、症状に合わせてケアしていく事が緩和ケアです。現在は、拠点病院を中心に緩和ケアチームがあったり、地域によっては病院と連携を取っている所もあります。治療を受けるご自身やご家族が、少しでも苦痛を感じた場合、それを取り除くために一度相談をしてみてはいかがでしょうか?
1、主治医との信頼・絆
・・・「不安や疑問があっても、先生は忙しいからそのままにしている。先生に任せておけば大丈夫」。主治医を信じる事は大切ですが、気になる事を遠慮なく聞けるという事が本当の信頼関係です。病気についての正しい知識を持ち、積極的に治療に参加することも、主治医と信頼関係を築く上で大切になってきます。
2、希望をきちんと伝える
・・・どんな生活を送りたいか、どうしていきたいかを伝える事が未来を変える可能性もあります。
3、納得して治療を受けるために
・・・医師や看護師からは、難しい医療用語を聞くこともあります。メモを取り、分からなければ質問をしましょう。そして、治療による良し悪しを比較し、ご自身に合った治療を選択することが大切です。また、1人ではなく家族と一緒に話を聞く事もおすすめです。
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