健康・美容

掲載日:2016年12月12日

分子標的治療薬-副作用への対処編-

前回の「分子標的治療薬について-副作用の種類編-」では、よく現れる副作用の種類についてご紹介いたしました。今回も引き続き、分子標的治療薬について書いていきたいと思います。今回は、分子標的治療薬での治療中に起こる副作用への対処方法についてご紹介いたします。

対処薬や適切にセルフケアを行うことにより、副作用を予防できる場合があります。副作用には、自分である程度対処できるもの、病院へ連絡するべきものとがあります。分子標的薬による治療を受ける場合は、事前に副作用の予防方法、対処方法、どういう時に病院へ連絡すべきかを確認しておくだけで、いざという時の安心感は大きく違ってきます。

重い副作用が発生した場合には休薬が必要になるケースもありますが、日頃から対処薬やセルフケアで管理すれば治療が続けられることもあります。

 

副作用別の対処方法


 

●皮膚障害

皮膚障害の重症化を防ぐには、乾燥・刺激を防ぐセルフケアが大切です。分子標的薬での治療を開始する前に、皮膚科を受診して状態を整えておくと良いでしょう。皮膚障害が出現しやすい分子標的治療薬を使う時には、保湿剤やステロイド剤が事前に処方されます。しかし、治療中に炎症、痛み、痒みがひどおく、処方された薬が効かない場合は我慢せずに主治医に相談し、皮膚科を受診してください。

 

*治療中の注意点*

 

  1. 1.顔や体を洗う時には石鹸を泡立て、優しく洗いしっかりすすぎましょう。また、ナイロンタオルではなく、手や柔らかいタオルで洗いましょう。
  2. 2.洗顔後・入浴後はできるだけ早く保湿剤を塗りましょう。
  3. 3.風呂の温度は40度以下が良いと言われています。
  4. 4.直射日光や日焼けを避けるようにしましょう。
  5. 5.アルコール、カフェイン飲料、香辛料は控えましょう。
  6. 6.衣類は肌への刺激が少なく、ゆったりした綿素材のものがお勧めです。

 

●口内炎

治療前に、虫歯や歯周病の治療などの口腔ケアを受けておくことで、発症や重症化を防げるといわれています。口の中への刺激が強い香辛料、熱いもの、固いものは控えることも大切です。

 

●吐き気・嘔吐

吐き気や嘔吐の出現頻度が高い分子標的薬または抗がん剤を使う時は、吐き気止めを使って症状を抑えます。しかし、吐き気止めを使用しても症状が長期間抑えられない時は、主治医に相談してください。乳製品や脂肪分の多い食事も吐き気の原因となるため、体調の良い時に少量ずつ食べる工夫が必要です。

 

●食欲不振

食欲が減ってしまった時も心配しすぎてはいけません。食べられる時に、食べやすくのど越しの良いものを少しずつ食べるようにしましょう。

 

●下痢

下痢を生じやすい分子標的治療薬を使う時は、乳製品やアルコールなどの刺激の強いものは控えるようにしましょう。脱水症状にならないように、イオン飲料などで水分とミネラルの補給を行うことも大切です。

食中毒や感染性胃腸炎での下痢の場合は、下痢止めを服用しない方が良いと言われることもありますが、分子標的薬の投与中に起こる下痢は、感染症とは無関係であることがほとんどです。下痢の回数と量、便の形状について記録を取り、主治医や薬剤師に相談しましょう。分子標的薬による下痢は、早めに腸運動抑制薬ロペラミドを服用して排便をコントロールすることが重要だと言われています。

 

●視覚異常、かすみ目

主治医に相談し、ひどい時にいは眼科を受診しましょう。

 

●高血圧、高コレステロール血症

ほとんどが降圧薬や高脂血症薬でコントロールできますが、日頃から塩分や脂肪分の多い食事を控えると良いとされています。

 

●薬剤性肺炎

薬剤性肺炎になると、乾いた咳が出たり、息苦しさを感じたりします。すぐに分子標的治療薬の投与を中止し、ステロイド内服薬で治療します。早めに治療すれば治ることも多いので、症状が出た場合は主治医にすぐに相談しましょう。薬剤性肺炎は、早期発見・早期治療が大切です。

 

こんな時はすぐに病院へ連絡を!


 

下記のような症状が出た時は、命に関わる危険性もあります。迷わず、治療を受けている病院へ連絡しましょう。

 

  • ・38度以上の発熱、悪寒
  • ・呼吸困難
  • ・動機や息苦しさ、空咳が続く
  • ・水分もとれない程のひどい下痢
  • ・吐血や下血

 

夜間・休日の緊急連絡先と連絡方法を担当医や看護師に確認しておき、メモした内容は電話の横などすぐに分かる場所に貼っておくと安心です。

 

分子標的治療薬の副作用の中でも、特に多く現れるのが皮膚障害です。副作用は、一般的に薬の効果が出ていない時に現れるものですが、一部の分子標的治療薬で現れる皮膚障害は薬の効果が出ている証と考えられています。これについては、次回の記事で詳しくご紹介したいと思います。

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