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掲載日:2016年12月22日
前回の「分子標的薬での治療による副作用への対処方法」はいかがでしたでしょうか?“どんな副作用が起こるのか”、“どのように対処すれば良いのか”・・・知識として持っておくと、とても安心ですよね。
一般的には、「副作用が出る=薬の効果が出ていない」と言われていますが、一部の分子標的治療薬では「皮膚障害(副作用)が出る=薬の効果が出ている」という風に考えられています。今回は、分子標的治療薬で現れる皮膚障害の対処方法と重症化を防ぐための方法をご紹介いたします!
皮膚障害が出やすい主な分子標的治療薬は①EGFR阻害薬(アファチニブ、エルロチニブ、ゲフェチニブ、セツキシマブ、ラパチニブ、パニツムマブ)と②血管新生阻害薬のうちのマルチキナーゼ阻害薬(ソラフェニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ)です。
①のEGFR阻害薬と②のマルチキナーゼ阻害薬では、副作用の対処方法は異なります。①のEGFR阻害薬での治療中に、皮膚障害が出た場合は薬が効いている可能性が高いといわれています。反対に、②のマルチキナーゼ阻害薬で出る皮膚障害は、薬の効き目とは関係ありません。症状によっては、減薬か休薬を検討する事も大切になってきます。
EGFR阻害薬での治療中に、ニキビのような発疹などの皮膚障害が出ても、慌てる必要はありません。「薬の効果が出ているのかな?」と前向きに捉え、次に起こる皮膚の乾燥や爪囲炎に備えながえら症状をコントロールして、できるだけ治療を継続するように努めましょう。
皮膚障害では、保湿剤とステロイドが中心の治療方法となります。ステロイドに対して抵抗がある方も多いですが、ステロイドを使用した方が症状の改善も早く、分子標的治療薬による治療を長く続けられます。
血管新生阻害薬のうちのマルチキナーゼ阻害薬での治療中に起こる皮膚障害の中でも、特に出現しやすいのが手足症候群です。マルチキナーゼ阻害薬使用中の皮膚障害については、薬の効果は関係なく、ステロイドで治療してもすぐに改善することは難しいみたいです。
手足が腫れ、痛みが出てきた場合は減薬または休薬を検討する必要があります。手足症候群が出た場合、7日程度分子標的治療薬の服用を休めば痛みが和らぎ、その後、投与量を調整して治療を再開します。
減薬・休薬ががん治療に支障をきたすと思い、我慢をしてしまう方もいらっしゃいますが、その方が支障をきたしてしまいます。適切な投与量に変更し、治療を行う方が長く分子標的治療薬での治療を行う事ができるのです。また、皮膚障害が現れたからといって、勝手に薬の服用を止めるのではなく、必ず主治医に相談するようにしましょう。
皮膚障害が起こりやすい分子標的治療薬を使用する時は、肌を清潔に保ち、洗顔後や入浴後すぐに保湿剤を塗る事が重要です。その際、EGFR阻害薬を使用している場合は『ペパリン類似物質』、マルチキナーゼ阻害薬を使用している場合は角質が取れる『尿素配合薬』が効果的だと言われています。
また、治療中はハイヒールやきつい靴ではなく、ゆったりとした靴や靴下を着用するようにしましょう。家事なども最小限に減らし、手足への負担を減らすことも大切です。
直接的なスキンケア方法ではありませんが、睡眠をしっかりとる事で血液が体の各所に流れ始め、肌にも栄養が行き渡るといわれています。毎日の睡眠時間をきちんと確保するようにしましょう!
分子標的治療薬について3回に分けてご紹介しましたが、分からない事などは無かったでしょうか?今後もフコイダン専任スタッフの豆知識では、皆さまの健康に役立てる情報を随時掲載していきます。
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