土井龍雄先生の健康講座

掲載日:2018年3月28日

キャッチ歩法のススメ

春らしく暖かな気候になり、ウォーキングに取り組む方を多く見かけるようになりました。

そこで今回は、特にウォーキングが初めての方やご高齢の方にはもちろん、それ以外の方にも取り入れていただきたい歩法をご紹介します。

 

初心者に多い怪我


 

これまで運動とは無関係だったという方がウォーキングを始めた時、一番多い怪我は着地の衝撃による膝の怪我だと言われています。

私たちは左右の足を交互に振って前へと進んでいるのですが、着地の際に受ける衝撃をうまく吸収できていないと、膝や腰に負担がかかり、負傷へ繋がってしまいます。

 

まず、5年ほど前に行われた、ある調査についてお話ししましょう。

それは、マラソンの世界記録(当時)を持っていたケニアのマカウ選手を招き、日本のトップアスリートと同じ条件でテストを行い、その数値を比較するという調査でした。

時速20km以上で走っている時の床反力乳酸値を比べてみると、両選手の数値には大きな違いが出ていました。

 

【床反力】

床反力とは、ウォーキングやランニング中、1歩を踏み出した時に地面から受ける反発力を言います。

日本の選手は体重×2.2の床反力を受けていたそうですが、マカウ選手は体重×1.6と少なかったそうです。

これは、2人の足底が受ける反発力が、体重の6割も違うことを表しています。

 

【乳酸値】

血中の乳酸値濃度が高くなるということは、有酸素運動ではエネルギーを賄えなくなり、無酸素運動へ切り替わることを意味し、そのボーダーラインは4ミリモルとされています。

日本の選手の血中濃度を測ると4.8ミリモルあったそうですが、マカウ選手は3.2ミリモルと低い数値を保っていたそうです。

 

 

これらの検証結果から、床反力による影響を減らすことで、エネルギーの消費が抑えられ、足腰への負担も軽減できると考えられていて、その要となるのが、マカウ選手が行っていたキャッチ歩法です。

 

キャッチ歩法


 

衝撃を吸収するためには、柔軟な膝の動きがポイントになります。

 

例えば、こちらに向かってくるボールをキャッチする時、ボールが来る方向へ腕を突き出したりはしませんよね?

ボールの勢いを吸収するために、自然と肘を曲げているかと思います。

この動きをウォーキングにも取り入れることを、キャッチ歩法と言います。

 

◆キャッチ歩法のポイント3つ

①歩幅を少し小さくする。

②地面をかかとで擦るように引きながら、足の裏全体で着地する。

③膝を曲げてクッションにする。

 

これらのポイントに気をつけることで、膝だけではなく腰などにもかかっていた衝撃を減らすことができます。

更に、エネルギー効率が良くなることで、より長い時間ウォーキングに取り組むことが出来るようになります。

 

 

ウォーキングに取り組むことはとても良いことなのですが、正しい歩法でないと、思わぬ怪我へ繋がってしまう事もあります。

ご紹介したポイントに気をつけて、より良いウォーキングを目指してみてくださいね。

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