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掲載日:2017年7月26日
日本人の肺炎罹患率はとても高く、その原因菌として最も多いのが肺炎球菌です。肺炎球菌は、肺炎だけでなく中耳炎や副鼻腔炎といった病気においても、原因となることが多い細菌です。
肺炎球菌は、無症状のまま鼻や喉に定着していることが多いのですが、免疫力が低下している状態などでは、肺炎・敗血症・髄膜炎などの感染症を引き起こしてしまうこともあります。
免疫力が低下している状態や、今後、低下する可能性がある場合は、肺炎球菌による感染症に十分注意が必要です。
肺炎球菌による感染症を予防するために、ワクチン接種を受けることができます。この肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌への抵抗力を高めるために行われるワクチンで、高齢者はもちろん、がん治療中の方への接種が勧められております。
がん治療中は、その治療方法(抗がん剤・手術など)によっても異なりますが、がんでない方と比べると免疫機能が低下する傾向にあります。免疫機能が弱っていると、肺炎球菌感染症に罹りやすく、さらには重症化するリスクも高まります。抗がん剤治療を行っている時に肺炎を患ってしまうと、治療の中断にも繋がってしまいます。
特に血液のがん(白血病や悪性リンパ腫等)、脾臓を摘出している場合は、その危険性が高まります。
しかし、免疫力が大きく低下している状態では、ワクチンの効果を十分得られないこともあります。がん治療中や治療後の場合は、がんの症状や全身状態によってワクチン接種の時期などを検討する必要があるため、がん治療を受けている担当医に相談するようにしましょう。
インフルエンザと違い、肺炎球菌感染症は一年を通じて発生します。そのため、このワクチンは季節にかかわらず接種が可能です。
ワクチンの予防効果は、時間の経過とともに低下していきます。そのため、感染リスクの高い血液系のがんの方や脾臓を摘出している方には、再接種が勧められています。
再接種の間隔は、ワクチン接種を受けてから5年以上の間隔をあけることが推奨されています。他の病院などで肺炎球菌ワクチンを接種したことがある場合は必ず担当医に伝えるようにしてください。
肺炎球菌感染症は、風邪など軽い体調の崩れをきっかけとして発症することも多くあります。
日常の中で、手洗い・うがいといった一般的な感染症予防はもちろん、規則正しい生活を送ることが大切です。また、鼻や喉に定着した肺炎球菌を吸い込むことで肺炎を発症してしまう場合もあるので、口の中を清潔な状態に保っておくことも予防方法の一つとなります。
肺炎球菌は90種類以上の型があります。ワクチンは、全ての型に対して予防効果があるものではないため、ワクチン接種を受けたからといって完全に肺炎球菌感染症を予防することはできません。肺炎球菌ワクチン接種を受けた方でも、日頃から予防を心がけることが大切です。
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