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掲載日:2017年6月28日
食を通して生きる力を育む「食育」という言葉は、近年になって急速に定着しました。特に子ども達に対する食育が注目されており、一緒に買い物に行ったり料理をしたりして食材にふれ、食べることの楽しさや興味を高めることが大切だと言われています。
実は、食育と同じように「歩育」、つまり幼いころから歩かせて育てることもとても重要なのです。今回は、子どもたちへの歩育について、紹介します。
運動能力は低下している
「朝礼後に運動場から教室へ帰る時、多くの児童が足を地面にすりながら歩くので、土埃があがるんです。運動指導としては、どのような事をしたらよいですか?」
これは、ある小学校の先生からいただいた質問です。
先生をしている数人の知人にも聞いてみたところ、すり足歩行というのは、今の子どもたちにかなり増えており、座る・立つ・歩くという日常生活の基本的動作や姿勢やきちっとできない子も多いそうです。
また、ここ30年ほどの間で、小学生の1日の歩数が約1万歩も減っているという事がある調査結果で報告されております。
歩育の重要性
運動能力低下を防ぐために、歩育を行う事が大切です。
私たち運動指導者は、乳児から幼児、そして児童といった成長期の運動を特に重視しています。なぜかと言うと、この時期は140億の脳神経細胞からぐんぐんと枝が伸びて、どんどん新しい動きができるようになるからです。
発育(大きく丈夫になる)や発達(動きが身に着く)には、まず運動刺激を与えて、栄養と休養を取る事が必要なんですね。
また、歩いているとたくさんの景色に出会い、季節ごとの様々な変化に触れることができるので、五感を刺激して感情を豊かにしてくれます。そして何より親子のコミュニケーション時間が増えるということが魅力だと思います。
「歩育」は子どもたちの体と心の成長に大きな役割を担っているんですね。
歩育のコツとは?
子どもたちがたくさん歩けるように、子どものペースに合わせてゆっくり進める事が大切です。個人差もあるので、こうする事が正解というものはありません。
子どもの興味が赴くままに進んだり、少し歩けるようになってきたら「今日はここまで歩いてみよう!」と一緒に目標を立ててみるのも良いかもしれませんね。
歩く距離を考えると、年齢の数だけ歩くことが良いと言われているので、たとえば2歳のお子様だったら、2kmが目安という事になります。
しかし、あくまでも会話をしたり歌を歌いながら楽しく歩くことが一番大切です。
少しの距離からでも良いので、まずは始めてみてください。
また、歩育には計画性も重要だと考えています。
ドイツでは、幼児期に足の定期検診を行っているのですが、このような事は大人も歩育に興味を持つきっかけにもなると思うので、日本でも取り入れられるとよいと思います。
少し前になりますが、2008年には「子供を元気にするための運動・スポーツ推進体制の整備」という提言書が日本学術会議から行政などに対して出されました。
今後も行政を含めて歩育の具体策が伸展していく事を願います。
発育期には様々な運動機能が養われます。特に歩くという直立二足歩行は重要であり、これからは80年以上歩き続けていかなければなりません。
幼少期から“歩育”を行い、お子様が長期にわたり健やかに過ごせるような環境作りをしてあげてください。
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