健康・美容

掲載日:2016年5月11日

化学療法中の脱毛ケアについて~化学療法中の対策編~

前回の基礎知識編では「化学療法中になぜ脱毛が起きてしまうのか」、「一般的なヘアサイクル」などについてご説明いたしました。
化学療法中の対策編では、化学療法開始からの経過と日常で役立つ情報をご紹介いたします♪

 

化学療法前~治療終了までの経過

 

抗がん剤の種類、そして投与量によっても変わりますが、抗がん剤投与開始から10日~20日前後で髪の毛が抜け始めます。
脱毛に向けての準備として自毛をカットしますが、この時期に髪を短くすることに対して心の準備が整わないという方も多くいらっしゃいます。
その時は、一気に短くカットするのではなく、段階的に短くしていくのも1つの方法です。

 

◆脱毛が始まった時の注意点◆

1、自分で髪の毛を抜かない

脱毛していない毛髪もご自身で無理に抜いてしまう方がいらっしゃいますが、毛根が傷付いて回復が遅れてしまいます。

さらに、新しく生えてくる髪の毛の癖が強くなってしまう原因になる可能性があるので、無理に抜かないようにしましょう。

 

2、頭皮マッサージや育毛剤の使用はNG

治療中に頭皮のマッサージを行ったり、育毛剤を使用することは血行を促進することになります。
抗がん剤治療中に血行を促進してしまうと、薬の影響を大きくしてしまう可能性があるので、避けるようにしましょう。
抗がん剤投与が終了後の頭皮マッサージは発毛にとても有効です。

 

3、頭皮は清潔に保っておく

頭皮の皮脂量は額の2倍以上あるといわれています。毛髪が無い場合も頭皮は汚れるので拭くだけではなく、できるだけ毎日シャンプーを行いましょう。
脱毛が始まったら、紙製のヘアキャップがおすすめです。
ご自宅で過ごす時や就寝時などに髪の毛が落ちてしまうのを防ぐことができ、紙製なのでそのまま捨てることができます。
室内用で着用する帽子の内側に着けることで、帽子に付いてしまった髪の毛を掃除する手間も省けます。

 

抗がん剤治療中のシャンプーについて

 

市販のシャンプー剤には、頭皮に負担がかかる成分が入っているものもあります。

治療中はできるだけ頭皮に優しいシャンプーを選ぶことが大切です。

頭皮トラブルの予防・頭皮の健康のために状況に合ったシャンプーを選ぶようにしましょう。

 

◆治療中のシャンプー選びのポイント◆

1、殺菌剤が含まれていないものを選ぶ

医薬部外品のシャンプーのほとんどが、フケやかゆみを抑制する殺菌剤が配合されています。
頭皮の代謝を低下させたり、頭皮への刺激の原因となる可能性があるので、できるだけ使用を避けましょう。

 

2、ベビーシャンプーはあまり良くない

低刺激なので良いと思われている方も多いですが、乳児向けのシャンプーは洗浄力が弱く、皮脂が取りきれないものもあります。

そのため、成人の頭皮の汚れに対して、ベビーシャンプーはあまり適していません。

 

3、石油系洗剤やジメチコン(シリコンオイル)が使用されているものは避ける

市販のシャンプーには、洗浄力の強い石油系洗剤(ラウリル硫酸NA、ラウレスなど…)や手触りをよくするジメチコンが使用されています。

これらが含まれているシャンプーは頭皮に負担をかけてしまうので、おすすめできません。

 

4、石鹸で頭皮は洗わない

石鹸は頭皮の洗浄には適していますが、髪の毛を傷めてしまうので注意が必要です。
髪の毛は、22時~2時の間に毛根に栄養が運ばれ、3時~9時に成長すると言われています。
髪の毛が成長している朝は、毛穴がゆるみシャンプーの成分が残りやすくなってしまいます。
シャンプーは夜行い、朝は避けるようにしましょう。

 

◆正しいシャンプーの方法◆

①ぬるま湯で髪を十分に流す

ぬるま湯のシャワーで2分程度流すことで、頭皮の70%の汚れは落ちます。
体調が優れない時や腕が上がりにくい時は、シャワーヘッドを固定し、頭皮をお湯で流すだけでもある程度はキレイになります。

②シャンプーを十分泡立てる

シャンプーをスポンジや泡立てネットを使い十分に泡立てます。
お湯で落としきれなかった皮脂や整髪料の汚れをシャンプーで落とします。

③指の腹で優しく頭皮を洗う

頭皮はこすらず、指の腹で優しくもみ出すように洗いましょう。

④脱毛中のリンスは避ける

リンスなどは、毛髪を保護し栄養を与えるものなので脱毛期での使用はあまり良くないといわれています。
使用する場合は、毛先を中心に使用しましょう。

⑤ぬるめのお湯で十分にすすぐ

お湯が熱すぎると必要以上に血行を促進してしまいます。また、洗い残しがあると頭皮を傷めてしまうので、十分にすすぐようにしましょう。

⑥タオルで水分をふき取る

頭皮をこすらないように、優しくおさえるようにして水分をふき取りましょう。

⑦頭皮を乾かす

頭皮が濡れたままだと、空気中の雑菌が付着しやすくなります。
乾かす際は、高温になりすぎないように冷風と切り替えながらの使用がおすすめです。

 

頭皮を乾かし、ブラッシングをする場合は頭皮を傷つけないようにしましょう。

目が粗く先が柔らかいブラシでゆっくりブラッシングを行いましょう。

 

抗がん剤治療中に発生したトラブルの対処方法

 

Q.脱毛が始まってから、頭皮がピリピリ・チクチクする・・・

A.毛根の近辺に神経叢(しんけいそう)が集まっているため、異変を感じやすくなります。

脱毛が治まると頭皮の異変も次第に落ち着いてきます。そのことに集中せず、気を紛らわせてみましょう。

 

Q.脱毛中にかゆみがでてしまう

A.掻くと頭皮を傷つけてしまうので、水で濡らしたタオルで冷やしてください。(冷やし過ぎはNGです。)

脱毛が治まると、かゆみも次第に治まりますが、我慢できない場合は皮膚科に相談しましょう。

 

Q.頭皮のべたつき、臭い、フケ対策はどうすれば良い?

A.シャンプーをすすぐ時に、指の腹で優しく洗いながらシャンプー剤が残らないように十分すすぎましょう。

シャンプー時間の倍ほど、すすぎに時間をかけてみてください。

 

前向きな気持ちで

 

脱毛の副作用が起こると、落ち込んでしまいます。
次に生えてくる新しい髪の毛を楽しみに頭皮ケアを行うだけでも少し前向きになれるのではないでしょうか?

また、頭皮ケアだけでなくウィッグを活用したりメイクを楽しんだりと、外見ケアをするだけでも気持ちが明るくなり治療にも良い影響を与えます。
治療に伴う副作用を仕方のないことだと諦めるのではなく、自分らしく、これまでと同じように過ごすことでQOL(生活の質)の向上にも繋がります。

次回は、抗がん剤治療終了後の頭皮のお手入れについてご紹介いたします♪

 

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