化学療法中の味覚異常を乗り越える
多くの患者さんが悩まされる副作用【味覚異常】
化学療法中の副作用で食欲低下が起きやすい時に、味覚異常の副作用も出てしまうと、更に食欲が低下してしまいます。味覚異常の症状には、「食べ物の味がしない」、「何を食べても味が濃く感じる」、「にがく感じる」など、さまざまです。
味を感じる味蕾(みらい)細胞は、新しい細胞と絶えずに交替している新陳代謝の激しい細胞のため、分裂の激しい細胞を標的とする抗がん剤の影響を受けやすい部分でもあります。
抗がん剤は、味蕾細胞の破壊・唾液分泌の低下・亜鉛の欠乏を引き起こす為、味覚異常の副作用が出現するのです。
味覚異常の予防と対応
副作用として味覚異常が予想される抗がん剤を投与する時や、味覚異常が出現した時などは以下のポイントを実践してみてください。
- 1、味蕾細胞の新陳代謝を促進する効果のある亜鉛・ビタミンB12・鉄などが豊富に含まれる食品を摂る
- 2、唾液の分泌を促す(よく噛む・レモン水でうがいをするなど)
- 3、口腔内の衛生を保ち、口腔内感染を予防する
- 4、味覚異常によるストレス緩和方法を考えておく(家族の理解も大切です。)
- 5、食物嫌悪を防ぐ(どんな味に変化を感じているのかを知り、味付けを変えてみる)
- 6、嫌なものは無理に食べず、別の食べ物を食べる
味覚異常は食欲不振に繋がり、食事量が減ることにより化学療法中に重要であるエネルギーやタンパク質の不足を招いてしまいます。そして、亜鉛や鉄などのミネラル分が不足する事で、味蕾細胞の新陳代謝が悪くなり、味覚異常が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
また、亜鉛の不足は免疫力を低下させ、皮膚炎・口内炎などを起こしやすくします。化学療法中は、亜鉛を多く含む食品を積極的に摂取する事がお勧めです。
■亜鉛を多く含む食品■
緑茶(特に抹茶や煎茶)・貝類・丸ごと食べられる小魚(煮干しなど)・ゴマ・ナッツ類・シイタケなど
症状別!料理や味付けのヒント
化学療法中は、さまざまな味覚の変化が感じられます。味覚異常の副作用が出ている時は、「食べる楽しみ」をキープするために、ひと工夫が必要です。
■味が薄い・感じにくい■
- ・塩分制限がない場合は、塩味を濃くする
- ・カップ麺は塩分を感じやすく、カロリーも高い
- ・果物、酢の物、汁物を増やしてみる
- ・食事の温度を体温程度にする
■苦味・金属の味がする■
- ・食前にレモンや果汁で味覚を刺激する
- ・塩分を控え、酸味を用いる
- ・塩味や醤油味が苦く感じる場合は、味噌味を試みる
- ・昆布やかつおなど、出汁を利かせた汁物を摂る
- ・シソやネギなどの薬味、香辛料の風味を利用する
- ・肉類はワインや果汁に漬けてから調理する
- ・口内が苦い時は、キャラメルや飴などを活用する
- ・茶碗蒸しや卵豆腐などの、卵料理は比較的食べやすい
■甘味が強く感じられる■
- ・塩気を強くしてみる
- ・汁物は甘く感じないことがあるので、試してみる
- ・酸味のある果汁や、酢・香辛料を利用する
味覚と嗅覚は密接な関係にあり、味覚異常を起こしている時は嗅覚も敏感になります。
温かい食事はにおいが強くなるため、少し冷ましてから食べると、比較的食べやすく感じられるかもしれません。
















